建築家梅田達也の「家づくりアドバイス」その8

暖炉アクセサリー

テレビばかり見てないで
今夜は皆で火を囲もうよ

 暑い夏でも真冬の事を案じなければならないのが、建築家という稼業のとても因果なところです。真夏の暑い盛りであっても、真冬の寒さを思いせっせと暖炉の計画をします。
 暖炉や薪ストーブは、その数値以上に暖かいものですが、特に気をつけなければならない点がいくつかあります。
 まず、給気をきちんと取らないとなりません。家の中心に火を配する方がより有効なのですが、当然外壁に面していない以上は、給気管をきちんと設けて燃焼に必要な空気を供給する必要があるのです。
 次に、煙突です。実は暖炉や薪ストーブは、その本体よりも煙突に費用がかかります。そして、燃焼して得られる熱の殆どは、その煙突から発生しているのです。煙突を家の内部に有効に配する事で、たとえ暖炉は1階にしか無くても、家全体を暖める事が可能です。また、天井の高さが高い場合は天井扇で上に上がった暖気を吹き下ろす必要があります。
 従って、薪ストーブのカタログを見ると、燃焼による発熱量が表示されていますが、実際には、煙突を有効に利用する事等により、数字以上の暖かさを得る事が出来ます。
 地球環境が取り沙汰されている昨今において、木を燃やす事には抵抗が有ると考えがちですが、果たしてそれが本当に悪であるかは疑問ではないでしょうか。実際に山林を見ると、間抜をする事が出来ずに、山崩れを起こしてしまっている部分も多くあります。また、焚き付けに建築廃材を用いれば、どちらにしても燃やされるものなのですから、その分、他のエネルギーを燃さずにすんでいるのではないでしょうか?
 必ずしも、家庭の暖炉等で薪を燃やす事が、地球環境にマイナスであるとは思えないのです。

 さて、今や家族の中心はすっかりテレビになってしまいました。家族の団欒の時でも、その視線はテレビに釘付けで、はずむ会話があったとしてもそれはテレビの話ばかりだったりして、時々げんなりしたりもします…。
 そんな時、かつて家族の中心には何があったのかと、ふと考えます。かまど・囲炉裏・暖炉・ストーブ・キャンドル…。洋の東西を問わずそれは"火"でした。夏だったら外でバーベキューでしょうか。テレビを消して、ゆらゆらと燃える炎を見ながら、テレビの話題でない話しで盛り上がるというのは、最も幸せな一家団欒の形だと思います。
 囲炉裏が調理器具であった様に、暖炉や薪ストーブを使っての料理はとても楽いものです。ダッチオーブンを、火にくべて、水を入れずに、野菜の水分だけで煮たチキンは最高ですし、自家製のピザなんかも、もう絶品でわくわくして来てしまいます。

 いかにも「男の料理」の定番という感じで、気が付くと、ビールやワインがついつい進んでしまいます…

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