携帯電話やパソコンはこの10年間でどんどんと小さくなっていますが、乗用車はそうはいかない様で、じりじりと大きくなります。台数も1家族に1台では満足せず、1人1台の時代です。公共交通の整備されきった都市部でさえも「車は2台置けるように」という注文はもう当り前となってしまいました。
かといって、屋外に2台分の駐車が出来る程の広いスペースは確保出来無いというケースがほとんどです。しかも、建築家に住宅の設計を依頼して来る人達は車にとても凝っている人が多く、駐車スペースは屋内が必須条件となるのです。
そこで登場するのが車庫と「スキップフロア」です。駐車スペースの床は道路と同じ高さでないと困ります。天井の高さも低くても十分です。
それに対して住宅部分は道路より床の高さが上がっていて、天井の高さも出来るだけ高くとりたい。そこで、建物の道に面した部分に駐車スペースを設け、奥の住宅部分とは半階分床の高さをずらすのです。
この様な互い違いに半分ずつ上がっていくタイプの床の構成の事を「スキップフロア」と呼んでいます。「床がスキップしている」等と言う事もあります。建築家や工事業者等のイイおやじ達が「スキップしている」等と真顔で言っている姿は中々に微笑ましいものがあります。
階段を半階ずつ上がるため、自分が何階にいるのかが、分らなくなってしまう楽しさがあります。また、常に上下2つの階に視線が通るため、空間が5割増しになった感じがして、実際の面積よりも広く感じる事が出来るという副作用もあります。但し、全てのの床に通じるエレベーターを付けるのは困難ですが…。
「愛車精神」が産んだ「スキップフロア」という空間の形が、「愛宅精神」を産み出してくれると、いいですね。