建築家梅田達也の「家づくりアドバイス」その4

大家族は再来するか?

核家族という家族の形は
いつまで続くのでしょう

 「子供もできた事だし、お前達もそろそろマイホームを持ちたいだろう。ウチを2世帯住宅に建替えて一緒に住まないか?」よくある親子同居の決まり文句です。
 この「2世帯住宅」という言葉は、一体、誰の発明なのでしょうか?そこには様々な家族像があり、何を共有し、何を別にしたいかは、千差万別です。中には、マンションにしてしまって、別室を所有するという極端なモノまで登場している様です。
 もちろん、相続や、兄弟間の問題、将来転勤等で引越した場合に空き部屋が勿体無いなどと、多くの事を見越すと、これも穿った選択と言えるのかも知れませんが。でも、サザエさんやまる子ちゃんの家がそんな家だったら、ちょっと笑えないですね…。

 今から40年位前に、ライフスタイルは大きく変化しました。地方から首都圏への人口移動が起り、農村的な大家族はサラリーマン的な核家族に分裂をしたのです。文化的にも欧米化の革命が起り、親子の間にはジェネレーションギャップが生じ、生活を共にする事は、物理的にも精神的にも、ちょっと難しくなり、夥しい数の核家族が出現しました。
 それに伴い、家の形もどんどんと小さくなりました。曾ては大きな材料を使い、大きな家を建てて皆で住み、建替える事は殆ど考えなくても良いという程にも家は長く使われていましたが、戦後に建てられた家の殆どは、10cm程しかない細い柱で、小さく華奢に作られ、20〜30年といった、核家族のライフサイクルで建替える事を前提とした、まるで「仮設住宅」の様な家になりました。

 しかし、今の30代の親達を想像してみて下さい。40年前と比べると、食生活の嗜好や、音楽等の趣味等、もうすっかり欧米化してしまっていて、親子のライフスタイルの違いはそれ程ないのではないでしょうか。
 かえってお母さんのほうがヒーローのショーにキャーキャー言っているくらいだったりしています。将来子供家族と同居する時が来ても、なにも全ての物事を別々にして2世帯住宅にする事はないと考える様になるのではないかとも思えるのです。
 曾ての農村部の民家の様に、しっかりとしていて大きい家を建てて、将来家族がどれだけ増えてもその家にずっと暮らす。そんな姿も決して不可能ではなくなって来ているのではないでしょうか。
もちろん、現在であれば、木造だけでなく、鉄筋コンクリート造等もその選択肢に入れる事が可能です。

 核家族は文化的な安定期を迎え、核融合をして、再び大家族に近い姿に戻ってゆくのではないでしょうか。

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